グアム日本人会商工部主催 トップマネジメント座談会 ウェディング業界編

2016年3月23日
於リーフホテル内 WAONレストラン 

参加者
植村 浩二 様 KURAUDIA GUAM INC. General Manager
山下 文一 様 ARLUIS WEDDING GUAM CORPORATION General Manager
吉田 勝彦 様 WATABE GUAM INC. General Manager

司会
釜山 義彦 日本人会 商工部長

司会:皆様お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。今回は、商工部トップマネジメント座談会の第2回目と致しまして、グアムにおけるリゾートウェディングを手掛けておられる各社の方に集まって頂き、お話をお伺いしてみようということになりました。私も、ウェディングは素人が外から見た雰囲気程度しか分からず、的確な質問も出来ないかと思いますが、どうぞよろしくお願い致します。まずは皆様の主なお仕事の内容や様子などのご紹介を頂けますでしょうか。

【参加各社紹介と業界規模】

植村:グアム現地はKURAUDIA GUAM INC.という会社で、サイパンもやらせて頂いているので総勢社員数でいうと18名。親会社は、1976年設立の株式会社クラウディアという会社で、ウェディングドレスやタキシードを企画・製造して日本の貸衣装店に卸をする会社です。その中で、日本の貸衣装店2400社くらいとおつきあいさせて頂いています。クラウディアで作るドレスをよりたくさんの方にお召し頂きたいということで、海外ウェディングを15年くらい前にスタートさせました。国内ウェディングは、株式会社クラウディアブライダルサービスという別会社が大阪と京都の5カ所で結婚式場の運営をやらせて頂いてます。

吉田:グアム現地はWATABE GUAM INC.という会社で、親会社は京都にある会社です。元々は1953年に設立した小さな貸衣装屋からスタートしており、グループ会社ですと目黒雅叙園やホテルメルパルクなどのホテルや結婚式場を運営しています。グアムにおいては20年前から事業をやらせて頂いていて、グアム以外ではハワイやバリに拠点を置いて、日本のお客様の挙式を承る仕事をさせて頂いてます。

山下:グアムの会社名は、ARLUIS WEDDING GUAM CORPORATION、親会社は東京にある株式会社グッドラック・コーポレーションです。ウェディング会社としては、一番後発の会社になりますが、12年前に会社を立ち上げまして、グアムは9年前からやらせて頂いてます。今、ARLUIS WEDDINGとしてはグアム内で4カ所やらせて頂いていて、もう一つGlobal Pictures Guamという会社名でチャペルをやらせて頂いてます。従業員は約80名くらいの会社で、主に9割方は日本からのお客様、10%ほどは台湾だったり香港からのお客様で、たまにローカルのお客様があったりします。

司会:年間どれくらいの挙式を各社それぞれやってらっしゃるのか、イメージをつかみたいのですが。

植村:それはだいたい秘密で出さないですね。

司会:では、グアム全体でどれくらいの挙式という数字はありますか?

植村:何を一つにカウントするかにもよるのですが、挙式だけなのか、最近増えている写真撮影だけも数えるのか、それ以外にアジアの組数もカウントするのか。そんなこんな全部をカウントすると8~9千組くらいでしょうか。純粋に日本人がやる挙式の数は7千に満たないのではないでしょうか?

山下:何年か前まで8千と言われていて、今はかなり落ちて7千に達してないですね。

【日本のウェディング事情】

司会:落ちてきている原因というのは、まあ航空会社が便数減らしているというのもあるかもしれないのですが(笑)、何なのでしょうか?

植村:一番の原因は、婚姻組数が低下してきているということなんですよね。これはもうずっと年々、婚姻組数というのは減り続けているんです。なぜかと言えば人口が減ってきているから。昨年日本で生まれたのは男女合わせて100万人です。出生数が減るから婚姻組数も低下する、更にそれに加えて婚姻届は出すけど結婚式をしない人が3割から4割いると言われている。

司会:そんなにいるのですか?!

植村:なので、昨年64万7千組だったかの婚姻届が出ているのですが、実際のところ結婚式をした人は40万組を切るくらいではと言われています。

司会:これはなぜでしょうか? 女性の方は特に結婚式をやりたいと思うのですが。

一同:経済的な問題、あとは価値観が変わってきているとか。

植村:それと、したくてもできないケース。例えば、ちょうど子供を出産する時期になってしまったとか。

【海外ウェディング全体の現状】

司会:そうすると、ウェディングが減少するということは業界全体として危機感があって、何かせねばならないのか、それは仕方ないのか。また、皆さんの会社あるいはグループは日本での挙式も手がけておられますが、今後海外へ誘導していくのか、会社の方針としてはどうなのでしょうか? 即ち、国内で挙式をやってもらう方が良いのか、あるいは海外でやってもらう方が良いのか、そこはどうなのでしょうか?

植村:利益だけのことで言えば、国内の自社式場で全部やってもらうのが良い。売上高が違う。

吉田:国内ですので当然列席人数が違いますからね。

植村:例えば、列席者が60~80人はいて料理が2万~2万5千円ほどで、それが自社のシェフが作ってということになると、大きいですよね。海外は海外で伸ばしていかねばならないのですが、グアムでの平均列席者数が12名と言われているので、そこに2万円を掛けても大した金額にはならないですね。

司会:列席者の人数はハワイだともっと落ちると聞いたことがあるのですが。

植村:8名くらいでしょうか。

司会:リゾートウェディングという意味では、グアム、ハワイ、沖縄と、あとバリですか? その中で圧倒的に多いのはハワイですか?

植村:恐らく全体の半分でしょうね。

司会:沖縄とグアムではどうですか?

植村:沖縄は、沖縄県の観光局がはっきり出している数字があって昨年は14千組です。そのうちアジアからの人が千数百です。

吉田:ただその14千組には写真(フォトウエディング)を撮っただけという人も含まれています。

司会:グアムの8~7千組という数字と比べると、グアムは沖縄の半分より少し多めの数というところですね。

植村:沖縄もつい4、5年前までは1万組いってなかったはずです。

吉田:10年ほど前の2005年に「1万組を目指そう!」と言っていて、実際に1万組を超えたのは2013年です。

司会:沖縄が増えてきた理由は何ですか?

植村:飛行機の便がたくさんあるから。

一同:(爆笑)

植村:それと新しいリゾートやホテルがどんどん増えているからですね。今も3つ4つくらいの新しいプロジェクトが進行中です。

吉田:環境的には、新しいホテルが増えたりLCC就航などの理由もありますが、沖縄県自体がリゾートウェディングに力を入れており、助成金のサポートを得て誘致活動を積極的に行うなど、観光産業の中でも県からのバックアップが大きいですね。

【海外ウェディングの中でのグアム】

司会:海外ウェディングの中でグアムの利点というのは、先ほど出たように日本から近いですから列席者が比較的多く出席できるというのがありますが、それ以外にハワイや沖縄に比べて何か利点はありますか?

山下:お休みをたくさん取らなくて来られるということと、ハワイと比べると宿泊数も少なくて済むので費用が安く上がるという点ですね。

植村:安近短ですね。

山下:もしかしたら初めてグアムに来られる方は、ハワイのちっちゃい版と思われてるかもしれません。

吉田:そうですね、我々のお客様も結構な割合で「海外旅行初めてです」というお客様がいらっしゃいます。「海外で挙式をやりたいのだけどハワイまで行くのはちょっと」という方には、安近短のグアムが海外ビギナーの方に向いている感じがしますね。

司会:そういう海外初めてのお客様をウェディングでお迎えするというのは、それはそれで結構大変なことではないですか? 海外旅行も初めてなら、ウェディングももちろん初めてでしょうし・・・

吉田:逆に、あれだけ長蛇のグアムのイミグレ(入国管理)で並ばれていても、ニコニコしながら並ばれて楽しそうにやっているというのは、ありがたいことですね。海外初めてだと、これが当たり前と思われてるのだと思います。

山下:慣れている方だと耐えられないですよね。

吉田:イミグレに並びながら一生懸命、ああでもないこうでもないと書類を書かれているのも、初めての海外旅行を楽しんでおられるのだと思います。

【グアムの海外ウェディングの歴史】

司会:グアムの海外ウェディングの興りというのは、いつごろでしょうか?

植村:一番古いのはフカダウェディングで、30年前くらいからやっておられたんじゃないでしょうか? それが第1号で、その後にワタベさんが入って来られた。

司会:ワタベさんが入って来られたのはいつ頃ですか?

吉田:20年前ですね。

司会:それで10年ごとの2回目の周期が来ていると言うことですか?

吉田:いえ、いくつか運営していたチャペルを既にテイクオーバーしたり、今は無くなっているところもあり、いろいろですね。

植村:例えば、ヒルトンのAQUA STELLAという白いチャペルは、元々はワタベさんの別の名前のチャペルで、契約満了となって今はARLUISさんが使うようになった。シェラトンのWHITE ARROWというチャペルも元々はフカダウェディングさんが別の名前で作ったチャペルだった。

司会:グアムでのウェディングは30年前くらいから始まったということでしたが、海外ウェディングというのは、ずっとコンスタントに伸びてきたのでしょうか? あるいは急に伸びた時期とかあるのでしょうか?

一同:海外ウェディング自体は40年前くらいにハワイから始まった。

吉田:弊社は1973年にハワイに進出しました。現在ワタベの相談役となっている渡部隆夫が、先代の下で専務か常務をやっていた時に京都のお店で、お客様から「海外で結婚式をやるので衣装を一週間貸してほしい」と言われました。貸衣装屋というのは、貸出-利用-返却で2泊3日の料金となっているのですが、その料金で1週間貸してほしいというお客様が年間3組ありました。そこで、うちの店で3組あるということは自分のところのマーケットシェアからすると、これはとてつもないマーケットが存在してるのではないかと考えたわけです。それでハワイを調べてみたら、当時1000組くらいがいろんなところで結婚式をしていたことが分かったものの、ハワイではどこの貸衣装店もサービスを提供していなかった。お客様はとりあえず衣装を借りて現地へ行って、現地のウェディング会社にお願いしてやっておられたらしいです。日本に海外ウェディング屋なんてものがなかった時代です。そこで、これは商売になるということで、JALPAKさんと提携して旅行とセットにしていくらという商品を作ったというのが、海外ウェディングの始まりですね。

司会:海外ウェディングというものを最初に始められたのは、ワタベさんということですか?!

植村:この話はよく出てくる有名な話です。

【グアムのビジネスモデル】

司会:それでハワイが順調に行って、グアムもということになるわけですか?

植村:ハワイは、プロテスタントの豪華な教会がたくさんあるんですね。グアムにもプロテスタントの教会はありますが、小さくて質素なところが多く、だからグアムでは我々が教会を建てなければならなかった。ハワイには元々、結婚式が出来る土壌があったと言えるでしょう。
 
司会:つまりカトリックの教会は信者でないと結婚式をやらせてもらえないが、プロテスタントは信者でなくても受け入れてくれる。しかし、グアムはカトリックの方が圧倒的に多く、結婚式の出来るプロテスタントの教会を皆さんが建てる必要があったということですね。

植村:グアムでチャペルを持って挙式をしているのは、今は私たちの3社とWorld Bridal Micronesiaの計4社のみです。

司会:そのチャペルというのは、皆さんが自らお作りになったものとのことですが、どういう仕組みなのですか?

植村:グアムにおける基本的なビジネスモデルは、土地をだいたい10年の契約で借りて、チャペルを自社で建てるという形ですね。

司会:チャペルは各社さんの持ち物というわけですね? とすると、グアムにお客様がもう少し来そうだと判断するともう一つ建てようか、あるいは先を見ると減らそうかというのは、自分たちのビジネスの計画というということになるわけですね。

植村:これがまたバリとかに行くと違う形で、ホテルがホテルの敷地の中にホテルの資金でチャペルを建てて、挙式もホテルが運営している、というところが多いんです。我々、ウェディング会社は、その商品を仕入れて販売するという形ですね。

司会:私は、グアムのチャペルはホテルが建てて、どこどこのウェディング会社と契約します、という形だと誤解していました。

植村:グアムのビジネスモデルはワタベさんが作られたもので、ホテルの敷地内にワタベさんの費用でチャペルを建て、10年経てばチャペルはホテルの所有になるというもの。この形でずっとやられてきた。

山下:ちょうど今がそのタイミングで、10年経ってきているところが多いんです。

司会:ではチャペルを持たないでやっているところはあるのですか?

植村:そういう方もいますが、チャペルは我々しか持っていないので、我々と契約をしてやられる。それは台湾だとかのアジア・マーケットで営業されてる方が多いです。

【グアムでの仕事上の制約】

司会:海外ウェディングという仕事をグアムで行う上での制約とか妨げとか、そういうものはありますか?

植村:日本人が海外で結婚式をするわけですが、お客様はサービスは日本と同じものを要求してくるわけですね。グアムだからという理由では許してもらえない。具体的に言うと、結婚式を司るコーディネーターは日本人、写真を撮るカメラマンも日本人、特にお客様が拘るのはヘアメイクで必ず日本人でなければならない。しかし一番難しいのがこの美容師なんです。まずVISAの問題がありますよね。プラスCosmetology Licenseというグアムの美容師免許があって、これは日本の免許とは全く違うもので、日本で免許を持っていてもグアムでその免許を取らなければならない。しかし、試験が定期的に行われていないこと。加えて、私たちはウェディングドレスを着た時のヘメイクだけですから、カットやパーマなどの技術は要らないにも関わらず、その免許にはネイルやエステの技術も含まれており、なかなか取りにくい。

司会:お客様にしたら、自分のヘアメイクをお願いするのに、やはり日本語での微妙な表現とかあるでしょうしね。

植村:言葉と感覚の問題ですね。

司会:美容師の方は1年くらいやられてまた去って行くような話を聞いたことがありますが。

吉田:VISAの問題ですね。

山下:H2B、J1が基本ですが、一昨日のPDNにも出てましたけどH2Bを取るのがまたかなり難しくなるとか。だんだん日本から必要な人を呼びにくくなっていて、ウェディングだけではなく他の業界にも響いてきているのではないでしょうか。

【イレギュラー発生時の苦労】

司会:ウェディングをやっていて、一番ご苦労されることとか、困ることって何でしょうか? 私が単純に思ったのは、天気が悪くて飛行機遅れてしまったり飛ばなかったような場合、キャンセルした方は仕方ないとして、一日遅れで来る方もいますがその場合はどうするんですか? また、天気自体も晴れなら9割方OKだと思うのですが、雨降ったりするとお客様の期待と全く違うことになりますよね。台風なんか来た日には一週間くらい天気悪いですが、そういう時って相当ご苦労されるのではないかと思うのですが。

吉田:現場的に苦労するのは、飛行機が欠航した時や、ConditionⅠが出た時など、そこでのお客様のケアと同時に挙式日程の振り替えなどお客様のご都合に合わせて調整する事ですね。

司会:チャペルにしろ、元々は全部決まった予定が入っている状態ですよね。それを台風などの理由にしろ、だからと言って翌日半分の時間に詰めることなどできない訳ですよね?

山下:何とかずらす! そこが大変なんです。

吉田:そうです!

司会:何とかずらせるのですか?

吉田:まあパズルみたいなものですね。

司会:素人的にはすごく不思議なんですが。

山下:お客様にも相談するし、取引先にも相談しますし、皆様の協力を頂いて、滞在期間中にやらないといけないので、その中で出来うる限りのことを尽くすということですね。こちらの台風って、日本みたいに何日か前に「何日の何時頃上陸します」という形ではないじゃなく突然来るじゃないですか。事前には分かりづらかったりしますので、そうなったらもう出来うる限りのことをするしかないです。ただ、どうしても結婚式が出来ずにご帰国される方もいるし、結婚式は翌日に延期されたけど参列者の方は一日短かい滞在予定だったので出席出来なかったということがありますね。

司会:そういう時って、お天気なら仕方ないですね、というのがだいたいのお客様の反応ですか?

吉田:それは人によりますね。

山下:グアムでの結婚式を申し込まれているので、頭の片隅ではある程度ご納得はされているものの、ただ自分の結婚式がよもやそういうことになるだろうとは誰も想像されてないと思うので。

植村:天候に関わることはこちらの責任ではないので、どうしようもないですよね。ただ可能なことをやって差し上げることしかないですね。例えば、雨が降ってきた、空いていればちょっと晴れ間が出るまで待てる限り待ちましょうか、ところが次のお客様があれば、もう限界ということもありますし。

【問題はいかに集客するか】

植村:当日のことでは苦労もありますが、まだお客様にご了解頂いていることだと私は考えています。私たちの本当の苦労は、いかに集客するかということだと思います。

吉田:それはグアムに限らず、日本でも同じですね。

司会:それは日本サイドでどう働きかけていくかということでしょうか?

植村:それぞれの会社のやり方が違うので、日本主導でやっているところがあったり、現地からいろいろ提案をして日本を動かしているところもあるでしょうし、やり方はいろいろあるでしょうが、マーケットが縮小していく中で、なおかつ昨年以上の件数と利益を確保するとなれば、これが一番難しい点でしょうね。

司会:結婚しようと思う方は、ネット見たり、雑誌で調べたり、またパンフレットも見るのでしょうが、そこはオールマイティで発信していくということでしょうか? あるいは最近はネット重視なのでしょうか?

植村:徐々に紙媒体からWEBサイトに移動してきますね。吉田さんと山下さんのところは、ブライダル専門誌のゼクシィを使っておられます。山下さんのところは40ページくらい出しているのでは?

山下:普段は20ページですね。今度の4月は商戦期なので40ページくらいですが。

植村:40ページと言ったら2000万円くらいですよ。ワタベさんも同じくらい出されると思いますが、すごいです。

山下:まあ4月と8月ですね。ゼクシィはバイブルみたいなもので、もちろんWEBとかでも見られるのですが、結婚されると決めたカップルはほぼ買われていると思います。

司会:へえ~そうなんですか。

植村:最近だんだんゼクシィ神話が崩れ去っていって、国内のホテル式場さんなどはゼクシィ広告を控える傾向になってきており、その分をWEBサイトへ移行してきています。

司会:海外ウェディングだけではなくて、ウェディング業界全体としては、挙式をあげる人が少なくなってきたということで、うちはもう撤退しますというような動きはあるんですか?

植村:現実的に、潰れている会社は山ほどあります。式場が経営破綻した、貸衣装店が経営破綻したとか。

司会:ウェディングをやってる会社ってどれくらいあるのですか?

植村:ブーケを作っているような会社もウェディングと数えられないことはないですが、国内でウェディングを主催している会社というだけでも凄い数になります。

山下:小、中と規模もいろいろありますから。

植村:その中で上場している会社だけでも、十社以上あります。

【アジア・マーケット】

司会:では皆さんは今後、日本マーケットが小さくなってきたので、次は台湾だとか韓国だとかアジア・マーケットに出て行こうということはないのですか?

吉田:弊社の場合は、アジアのお客様は下降トレンドです。要因は日本国内同様アジアでも沖縄PRが積極的であり観光客の伸びと比例、あとは飛行機の便数の問題もあるでしょうね。

司会:一般のビジターとしては、ざっくり日本人が年間80万人くらいで全体の6割を占めていて、韓国人が2割くらいいて最近は更に増えてきているという話がありますが、ウェディングに関してはそうでもないということですか?

植村:ウェディングについての韓国マーケットは、あまり積極的ではないですね。要は、韓国の人たちがこういうリゾートへ来て結婚式をするという文化から定着をさせないといけないからで、結局は時間がかかるということですね。それに比べると台湾、香港は違っていて、リゾートウェディングの展示会などが大きなホールで開催されたり、そういうマーケットがちゃんと存在してるんです。

吉田:韓国は、儒教文化であったり、キリスト教徒であってもお世話になっている牧師さんを連れて来て挙式をしたいとか、海外で結婚式というのは簡単にはいきにくい面があるようです。ただ、ここ最近では若いカップルに少しずつ海外ウエディングが流行りつつあるようです。

植村: 4社の中では唯一Worldさんだけが、韓国に会社をお持ちになってます。

司会:韓国の会社とか香港の会社とかで、こちらに来てやってらっしゃるようなところはないのですか?

植村:チャペルがないですから。

司会:じゃあチャペルを作ってやってやろう、という会社はないのですか?

植村:ないですね。

山下:今後はあるかもしれませんが・・・

植村:まあ台湾なり香港の人たちは、私たちのことを「おもしろくない」とは思ってるでしょうね。

司会:彼らがやろうとすると、結局皆さんにお願いするしかないからということですね。

植村:と言って、今更ビーチサイドでどこにチャペルを建てる場所があるのかという問題があります。まさかグアムまで来て山の中で結婚式というわけにはいかないでしょうし、

【日本マーケットと問題の根源】

司会:全体のビジターの人数からすると、台湾や香港の人は飛行機の便も毎日ではなくまだまだ少ないですし、そうなると日本人の減っているところを埋めるだけのものがなくて、大変難しいですね。結局は海外マーケットというより、やはり日本で挙式をあげる人をもう少し何とか増やす、ということになるのでしょうね。

植村:業界としては、やはり「結婚式っていいもんだよ」ということを如何に消費者に訴えていくかということが大事です。

吉田:結婚式をしたいと思わせるしかけとともに、グアムに来たいと思って頂くということですね。観光客の数とウェディングの数って本当に比例してるんです。だから今、日本人観光客が落ちていってると同時にウェディングも落ちていってるということです。だから、グアムの良さをアピールして観光客を増やすような施策をとっていかないと、当然ウェディングも増えていかないわけです。

植村:このウェディングの組数を増やすというか、結婚式・披露宴の実施率を増やすというのは、本当に根が深い問題で、テレビで綺麗なCMを流せば増えるかというとそうはならないところに根があって、元々子供が生まれてないところに端を発していて、じゃあ子供を増やすためにはどうしたら良いのかということになる。生んだはいいけど、幼稚園・保育所の待機児童の問題なども解決しないと安心して生めないとか、単純に結婚式の数を増やそう、挙式の実施率を増やそうとすると、何と国会で討論されているような難しい話に辿り着いてしまうんですね。

司会:確かに経済的にしっかりしてないと、結婚式も出来ませんしね。

植村:今、大学へ進学する50%の方が奨学金を借りているそうです。日本の奨学金制度はほとんどが借金で、そのうちの7割が有利子です。これがメガバンクに毎年320億円くらい払われているらしい。卒業したら、少ない人で400万円、多い人で800万円の借金を持って社会人生活をスタートさせることになる。そうすると、普通に考えて、結婚式するのに400万円かかりますということになると、それを払えますか?ということになる。一方で、そこに目を付けたのか、「結婚式が0円で出来ますよ」とアピールしているウェディング会社もあります。

司会:それはどういう仕組みなのですか?

植村:ご両親、友人、ご列席の方からお祝いが届くので、自己資金がゼロでもみんなからのご祝儀を集めれば出来るでしょう、と言って集客されるんですね。それが思うように集まらなくて、「払えません」ということでトラブルになることもあります。

司会:確かに根が深いですね。そういうように考えたことは全くありませんでした。

植村:最近は車もあまり売れてなくて、トヨタ自動車も「こんな新車が出ました」とか「これだけ性能がいいですよ」という前に「運転免許を取りましょう」というCMをやってるわけですよ。のび太くんとしずかちゃんが出てきて、「運転免許を取ったらこんなに楽しいことが待ってるよ」というCMです。まさしくウェディングもそうで、「こんないいチャペルがありますよ」という前に、そこに辿り着く環境が整備されてないといけないし、婚姻数が増えるためには、日本の社会保障制度がどうなっているかというところにまで到達する問題なわけです。

司会:日本の社会問題、経済問題という話になるわけですね。

植村:それが全部、今のウェディングに現れているということでしょうね。私が結婚式をしたのが30年前で、その頃は絶対ホテルで結婚式をするのが当たり前で、料理は松竹梅と三つあって「皆さんだいたい真ん中頼まれますよ」と言われたら真ん中を頼んで、「新婚旅行どうなさいますか?皆さんハワイですよ」と言われたら、「ハワイでお願いします」と申し込んで、皆と同じようにして、ましてや男性で26才、27才は全然早くはない年齢でしたし、女性の一般的な結婚適齢期は20台前半と言われていた時代でした。ところがたった30年で今や女性の30才以上の未婚者がいっぱいいますよね。一つの商売の限界が、凡そ30年ということなのかもしれません。

山下:ウェディングの話をすると、なかなか将来の明るい話ができないんですよ。観光客に比例して、落ちていってますから。

司会:グアム全体の日本人の観光がそういう傾向ですね。

植村:グアムの観光はサイパンのようになってはいけない。最盛期の頃はホテルニッコーサイパンで、年間300組とか400組とか挙式をやってたんじゃないかな?

吉田:450組くらいでしょうか。サイパンに住んでいるスタッフと話すと、昔賑やかだったホテルやショッピングセンターが今は廃墟となっているようなところもあり、今、その跡地を見ると、グアムもそうなってはいけない!と本当に思いますね。

司会:本日は、ウェディング業界の現状を知ることが出来、また皆さまの業界が抱える問題の根源が日本の社会の問題に繋がっているということもよく分かり、大変勉強になりました。ありがとうございました。

以 上