前立腺腫瘍マーカーのPSAの値を調べたほうがよいと前立腺癌になった同僚からアドバイスを受け、会社で加盟している保険「AETNA」が利用出来るアメリカン・メディカルセンターで受診し、泌尿器科の専門医の紹介状をもらいました。この時、前立腺癌の治療と保険会社との交渉という長い道のりが始まるとは予想もしていませんでした。

 専門医の診察を受けると PSA(前立腺特異抗原)の再検査を指示され、昨年の5,14から7.5(安全値4.0)に上昇しているのが確認されました。そして次に生体検査(Biopsy Test)を受け、初期の前立腺癌と診断されました。ちなみにグアム・ラジオロジー・コンサルタントでの生体検査の検査料には健康保険を適用しても500ドルを支払いました。

 これからいったい癌治療にどれくらいの費用がかかるのか、健康保険は適用できるのか、まず情報を集めることから始めました。私の場合は、癌治療にも健康保険の適用を受けることができました。通常の癌治療はほとんど保険でカバーできるようです。ただし、FDA(アメリカ食品医薬局)の未承認の新薬やFDAが先進医療で自己負担を求めるケース、治療方法によっては対象外の場合もありますので、加盟している保険会社で直接確認されるのをお勧めします。

 実際に癌や重病になり保険を適用された方は、健康保険の適用についての仕組みは理解されていると思いますが、経験のない方はあらかじめの知識として持っていた方が安心できると思います。そのためにはまず、保険会社とのやりとりで出てくる用語についてご説明します。


Deductible : 1年間で患者が支払う治療費の負担分

負担の上限が決まっています。治療の内容や受ける国で金額が違います。私が使った健康保険「AETNA」は米国内で治療を受けた場合、自己負担は上限500ドル です(年度内)。ただし 、マニラで受けたときは上限が100ドルでした。自己負担額を超えた額は保険会社が負担します。この自己負担額は保険会社やプランにより異なり、私が受けた生態検査で支払った500ドルがこの上限にあたります。実はこの検査で病院からは保険会社に5,000ドルの請求がされていました。いくら米国とはいえ高いような気がしますが、保険会社は請求金額をそのまま支払うことはなく、各病院と保険会社とで決められている料金を支払います。その差額は病院が負担することになります。

その後、私はシアトルで放射線療法(Seed Implant)を受けましたが、その時には請求されることはなく、すべて保険会社が支払いました。ただし、それぞれの治療に対する保険会社の支払いは病院と保険会社の契約料金(割引金額)ですので病院側はできる限り多めに請求しているように見受けられます。余談ですが、前立腺癌治療に IGRTという金のマーカーを埋め込む最新の外部放射線療法があるそうですが、グアムで治療する際の費用は40,000ドルかかります。それでも保険会社が100%カバーするそうです。


LOA: Letter of Authorization 治療および保険会社支払い確認書

例えば「AETNA」の場合、マニラで治療する 場合はこの手紙を病院に出さなければなりません。(FHPやCALVO保険などはマニラに関しては必要ないようです。)日本でも治療は受けられますので、日本でグアムの保険を利用したい時はこのLOAを取得してから治療を受けてください。日本でも保険でカバーされるようです。


CPB: Clinical Policy Bulletins 臨床方針概要

治療ごとに番号がついていて保険会社がカバーする病名および治療方法が文書で明記されています。治療法がかなり細かく分類表示されており、例えば前立腺癌の放射線治療のブラキーセラピーは含むと書いてありました。


CCRT: Clinical Claim Rerview Team臨床クレーム対応チーム

CPBにない治療法もカバーできるかどうか個別に保険会社の内部で判断してくれる部門です。約1週間で保険が適用できる治療かどうか判断してくれます。

 各健康保険には専用の相談窓口がありますので、理解できないことがあれば聞くべきです、また日本語の通訳も必ず準備してくれます。私たちは保険の専門家ではなく、しかもアメリカの保険システムに不慣れですので、費用や治療法の選択で困ることがあれば、病院側から保険会社へ問い合わせしていただくのがベストでしょう(英語圏の場合)。そして選択した治療法が病院によってどれだけ保険の適用を受けられるのか、まず確認してから受診すれば心配なく治療に専念できるでしょう。

アイク 池野


*文中の金額や保険内容は筆者の体験当時のものです。保険への加入や請求の際には契約内容確認又は保険会社へお問い合わせ下さい。