角川文庫 「グアムの探偵」 松岡圭祐著

グアムの探偵 

 グアムに来てからというもの、活字が恋しくなり、本を多く読むようになりました。日本に行った際には、必ず帰りの空港で、小説を数冊買って帰ります。先日も成田空港で、Easy Listening ならぬEasy Reading(英語ではeasy-to-readでしょうか?)な本を物色していたところ、「グアムの探偵」という本が目に飛び込んできました。グアムだし、まあハズレでもいいやと思い、衝動買いしてしまいました。そして早速、飛行機の中で読み始め。

 前書きの文章がまた面白い。日本の愛人がいる中年男は、みんなグアムに行きたがる。そしてそれを怪しむ奥様が、日本の探偵に浮気調査を依頼する。日本の探偵は、グアムでは合法的に調査できないので、グアムの日本語のできる探偵に依頼する。その依頼先が、この本の主人公、東山ゲンゾー、デニス、レイの日系三世代探偵が働くイーストマウンテン・リサーチ社ということになっています。グアムの探偵業の法律的な詳説から始まり、なんともノンフィクションっぽく書いてあり、信じそうになりますが、まず考えられないシチュエーションで、トンデモ事件ばかり発生します。

 で、なぜそれが面白いのか。

 一言で言えば、作家の松岡氏の取材力と、地名やホテル、レストラン、お店の名前が実名で登場するところです。ホテルロードをはじめ、マイクロネシアモール、バリガダハイツ、アプラ、昔のGMHの辺りなど、景色がはっきりと頭に浮かびます。マリンコープ、8号線や16号線など、道路はかなり詳しく書かれています。情景ばかりでなく、ところどころに出てくる、グアム知識。これも面白い。13歳以下の子供だけを、車の中で待たせたり、家で留守番させたりすると親は捕まる、大通りの路上で子供が遊ぶことが制限されている、グアムは約3分の1が軍の基地でありながら、住民に大統領を選ぶ権利がない、軍の建物はテロを警戒して、フェンスからある程度離れて建っているなどなど。

 グアム在住の私たちにとって、思わず入り込んでしまう内容になっています。この松岡氏、さらに執筆を進めているとのこと。タモンのレストランで横に座った人が松岡氏かもしれません。この記事が出るころには、「グアムの探偵3」も発売されているようです。読んでみたいと思いませんか?

編集委員:中村一樹