今年で35歳になる私ですが、留学や仕事を含め、成人してからの15年間の2/3近くを、海外で過ごしておりまして、”私のふるさと”と申しましても普通こういったコラムに諸先輩方が書かれる様な高尚な文化や風土紹介などができる予備知識は皆無でございまして、自分の故郷である長野県上田市を思う時、浮かんでくる断片的な思い出をお話しするだけになってしまい、とても恐縮するわけでございます。

長野県上田市
 最初に浮かんできますのは、よく祭りのある地域であったということです。三月の真田祭り、七月の祇園祭、八月盆踊りの上田わっしょいをはじめ、細かなところでは正月の信濃国分寺で開催される八日堂、三月に上田城跡を中心に広がる上田公園の桜祭り、七月の海野町歩行者天国の七夕祭りなど、正月から夏の終わりの千曲川花火大会までは季節のイベントに事欠かない地域でございまして、物心ついた時からこのような祭りに参加し(させられ)、現在の様な祭り好きの人間になるのも自然の理というところでしょうか。

 特に真田祭りなどは、近年でも県外から見物に訪れる人も多く、特に歴女(レキジョ)とよばれる歴史に多大な興味をお持ちの女性たちや、コミックやゲームなどで美少年、美青年化された真田氏武将や十勇士のイメージを求めて武者行列の写真を撮りにいらっしゃる女性などが増えていると聞き及んでおります。

 二つ目のイメージとしましては、やはり雪に関する思い出でしょうか。長野県はご存知のとおり、海に面していない山間部もしくはそれに囲まれた盆地にあり、寒冷地であり冬にはよく雪が積もります。グアムはその正反対の土地でありまして、気軽に海遊びが楽しめる半面、自分が親しんだ上田の気候を、無いものねだり的に懐かしんでしまう自分がいるわけでございます。長野のさわやかな夏の梅雨の後のむせ返る様な土と草の匂いも好きでしたが、私はなにより冬の雪の降る夜、家の外の切れるように鋭く冷たく澄んだ空気と沈黙が大好きでした。私の実家は、私が子供の頃ローカルの靴の小売のチェーン店を営んでおりまして、雪が降った翌日には早朝に父に叩き起こされ、弟、妹と共に配送センターも含めた実家の周辺と、上田市内の二店舗の雪かきをし、その後母が準備したかきたま汁などの温かい朝食を食べて学校に行っておりました。今考えると見事なアメとムチでございます。小さな子供の頃こそ厚着の完全防備でやっておりましたが、中学生にもなると代謝も盛んになってきておりまして、上半身はTシャツやタンクトップでやっていた時期もございました。

長野県上田市
 最後に一本、読者様に映画をお勧めしまして、このコラムを締めさせて頂きたいと存じます。ご存知の方も多いかと存じますが題名を”サマーウォーズ”といい、”時をかける少女”の細田守監督が2009年に手がけた初の長編オリジナルアニメ作品となっております。なぜここでご紹介させていただくかと申しますと、”舞台は長野県上田市で、城下町の町並みや上田電鉄別所線などを描く。上田市には細田の妻の実家があり、訪れた際に抱いた「日本の原風景」のイメージを投影することを考えた。細田は「当時既に両親を亡くし自らも一人っ子だったため、妻の親類の家族の繋がりに深い感銘を受けた」と語っており、妻の親類が物語の中核をなす陣内家のモデルとなっている(Wikipediaより)”とありますように、自分の故郷が舞台になっておりますことと、”つながりこそが、ボクらの武器”とキャッチコピーにありますように、家族をはじめとする人と人との”繋がり”にテーマを置いた、非常に感動的な内容になっている部分です。日本の一地方のしかも一家族というミクロな社会の絆から、インターネットを通した世界中の人々とのマクロな繋がりを描いた名作ですので、古き良き日本の家族の姿の懐かしみに、お子様たちの情操教育に、一度ご覧になってみて頂ければ幸いでございます。それでは乱文乱筆失礼いたしました。

萩原 秀俊